ハレトケブログ

現場での学びを記します。

「ググれカス」の向こう側

「ググれカス」と言われたことありますか? 

「ググれカス」とは、自力で簡単に調べられる(考えられる)ことを質問してくる相手に対して「それくらい人に聞かずにGoogle検索で調べろ(ググれ)、カス野郎。」という意味あいの俗語です。「それくらい自分で調べろ」「それくらい自分で考えろ」といった類の感情はみなさん持ったことがあるでしょうし、同じ感情を誰かに抱かせたことも少なからずあるのではないでしょうか。そんな感情をネタ的にフレーズ化したのが「ググれカス」ですね。

 

みんな大人ですので、実際に「ググれカス」と言う社会人なんてほとんどいないのですが(わずかに存在するのでご注意を)、本稿では「時間はあるから、もう少し自分で調べてみようか」「君の意見も聞いてみたいな、もう少し考えてみて持ってきてもらえるかな?」といったオブラートに包んだ表現も含め「ググれカス」として取り扱うこととします。

 

個人的な経験からすると、「ググれカス」と思われるのは新卒〜第二新卒くらいのフェーズが最も多いです。社会人として多くの経験を積んできた先輩たちからすれば、何も知らない新人だとしても「ハッチュウウケショってなんですか?」「サイケンカンリってなんでしょうか?」のような質問に対して例の感情を持ってしまうのは致し方ないことだとも思います。私も「質問は歓迎するが、調べてみた上で理解できなかった箇所について質問してきてほしい」と何度も思ったことがあります。

 

しかし、自分の新卒時代を思い出すと私も大いにそんな感情を先輩方に抱かせていたわけです。「タナオロシってなんですか?」「A3ってどれくらいのサイズでしたっけ?」みたいなヒドい質問をした記憶があります。

 

なぜ調べればわかることについて質問してしまうのか。おそらく多くの新人はバカな訳でも、主体性が低いわけでもない。それは解決難易度と緊急度のバランスの問題だと思うんです。

 

「ググれカス」と「抱え込むな」

「ググれカス」属性の対局に「抱え込むな」属性が存在します。「ググれカス」属性は何でもすぐに質問してしまいますが、「抱え込むな」属性は自分一人で解決しようとして疑問や問題を抱え込みます。抱え込んで抱え込んで「もうダメだ」となったタイミングで相談してくる。この属性が辛いのはここです。仕事には締め切りが付きものですが、その締め切りギリギリのタイミングで相談が来ると、どうにもリカバリできません。そういった意味では「ググれカス」属性の方がまだ業務遂行の可能性が高いですね。ただ、一方で「抱え込むな」属性は着々と自分で問題を解決する筋力を鍛えていることも事実。両者には一長一短があると言えます。

 

 

一長一短というと「どちらかを捨てなければならないトレードオフである」と思われがちですが、この問題はバランスをとることが正義だと思われます。どちらの属性に偏っていても、社会人としては非常に扱いにくく、役に立ちにくい状態です。よって、「ググれカス」属性はいかに自分で調べ考えるくせをつけて自己解決能力を高めていくかを志向する必要があり、「抱え込むな」属性はいかに自分一人で抱え込まずに業務遂行に支障がないタイミングで誰かの助けを借りられるようになるかを考える必要があります。

 

「バランスをとる」についてもう少し深堀りしてみます。何と何のバランスをとるのか?これが先ほど記述した解決難易度緊急度です。簡潔に言えば、解決難易度と緊急度が低い仕事で自分を鍛え、解決難易度と緊急度が高い仕事で周りに頼る力を身につけよということだと思うんですね。図示すると、こんなイメージです。

 

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解決難易度と緊急度が低い仕事は誰かに頼ると「ググれカス」と思われ、解決難易度と緊急度が高い仕事を自分で持ちすぎると「抱え込むな」と思われます。別の見方をすると、両属性ともに解決難易度と緊急度を読み違えているとも言えます。「ググれカス」属性は「これは難しい」「これは急いでやらないと」という気持ちを持ちやすく、「抱え込むな」属性人は「自分でできるかもしれない」「ギリギリまで頑張らないと」という気持ちを持ちやすい。

 

解決策

では、解決策としてはどうすればよいでしょうか。まず、ベースとしては「自分でどこまでできるかやってみる」という姿勢を持つべきだと思います。自分でやれそうなことの範囲を広げていくことが社会人としては最も大事です。やり方はわからなかったけど、探したり考えたら意外とできた、という経験の積み重ねは自己解決能力を高めます。自己解決能力が高ければ、やりたいと思える仕事の幅も増えていく。よって、どちらかというと、「抱え込むな」属性にポジションを取るべきで、「わからない」と思ったときには「本当にわからないのか?」と自問自答すべきです。

 

ただし、先ほど見てきたとおり、緊急度を読み違えて先輩や仲間に迷惑をかけるようでは半人前。よって、「可能な限り自分でやらせてほしい」ということを正直に伝えた上で、周りに頼るタイミングを事前に決めてしまうことをおすすめします。先ほどの図で言うと、ある仕事の難易度は一定ですが、時間が経つに連れて緊急度は右に移行していきます。「抱え込むな」の領域に入り始める位置を予め確認しておけば、その直前までは目一杯チャレンジして、駄目なら余裕を持って周りの助けを受けられます。基準を明示して孤軍奮闘する分には周りも安心して見ていられるでしょう。

 

このような視点で仕事を捉えてチャレンジの許容幅を確認していくと、そのうちにその幅が感覚的に読めるようになります。日本人は業務範囲の切り分けが苦手だとよく言われますが、新人に渡される業務も同様です。いつまでにやる必要があり、いつまでは一人でチャレンジしてみて良いのか。ここの「握り」を意識すると、「ググれカス」属性にも「抱え込むな」属性にも入らずに済みます。

 

ここまで新人向けのような文章を書いてきましたが、これはどちらかというと先輩社員向けです。新人の自己解決能力を伸ばすには、「いつまで」「どこまで」「どの範囲を」を明確にした上で仕事を渡すことが必須です。適当に仕事を渡しておいて「ググれカス」とか「抱え込むな」とか思っていないでしょうか。