ハレトケブログ

現場での学びを記します。

相手に気づかせる質問の力(『パワー・クエスチョン』書評)

本と出会うタイミングに運命を感じることがある。自分が考えているテーマについての示唆をたまたま出会った本から得る。そんなことがときどき起きる。

 

僕は昨年末から”気づきが多いコミュニケーション”について考えるようになっていた。

 

 

新しく出会った友人と会話していると自分一人では思いもしなかった気づきやアイデアを得られた、という体験がそのきっかけだ。特に彼女が直接的な指摘をするわけではない。でも、会話を楽しんでいるうちに「これはこういう捉え方ができるんじゃないか?」という新しいものごとの見方が得られる。

 

気づきを提示されるわけではなく、その人と会話をしていると自然と自ら気づきが得られる。とても不思議な気持ちになる。会話している相手が自ら気づきを得るコミュニケーションにはどんな秘密があるのか。そのからくりを知りたくなっていった。

 

そんなタイミングで出会ったのが、Andrew SOBELとJerold PANASの共著『パワー・クエスチョン』だ。

 

本書は、まさに僕が知りたいと思ったことの一端を示してくれた。著者の二人は豊富なコンサルティング経験をもとに、質問によって相手に気づきを与えることの有用性やその実践方法を多くの実例を通じて説いていく。

 

質問には様々なパワーがあることを理解させてくれる。質問は相手の心を開き、相手との関係を築き、相手の考えを整理し、相手が気づくことを助け、相手が問題の解決方法を見出すのに役立つ。

 

そうしたパワーがあることの説明だけではなく、そうしたパワーをどうやって活用すべきかまでをわかりやすく示してくれる。

 

この本を読んで気づいたのは、僕が出会った友人がパワー・クエスチョンに近い質問を用いていることだ。彼女は様々なパターンの質問と、それぞれの質問の効果をよく理解して使い分け、それによって僕の思考を整理し、新たな思考と気づきを促しているように思える。それは彼女が自然と体得してきたものかもしれないし、どこかで学習したのかもしれない。いずれにしても質問の種類が豊富なことが、”気づきが多いコミュニケーション”を生み出していることは確かだ。

 

本書の冒頭に、非常に示唆に富んだ表現が記されている。

 

的を射た質問をされると、私たちはいやでも考えさせられる。新たな視点から問題をとらえ直そうとする。そうすることで自分の思い込みに気づき、これまでの考え方を捨てることになる。つまり、質問が契機となって、もっと学び、新たな発見をしたいという気になるわけだ。優れた質問は、人生でなにがいちばん大切か思い出させてくれる。

 

293の質問はどれも何かしらの意図と効用を帯びている。質問を習得することで”気づきが多いコミュニケーション”に近づけるよう何度も読み直していきたい。