ハレトケブログ

法人営業→人事→事業企画。主に営業論。

『セールスの本質』書評

はじめに

昨日、文教堂書店をウロウロしていると『セールスの本質』(レス・ギブリン)という本が目に飛び込んできた。ちょうど「売ることの本質ってなんだろうか」と考えていたタイミングでの出会いで咄嗟に買ってしまった。

 

営業の心構えの基本を説く内容で、売れる人はこの基本を徹底している、というのが本書の概要と言える。めちゃくちゃシンプルにまとめているので読みやすい。

 

真新しい内容でもないが、確かに重要で、営業で成功するために欠かしてはいけない内容だ。あらためて身につまされる部分もあったので書評としてまとめておく。

 

尚、ロジカルな営業プロセス戦略を説くものではない。あくまでも「心構え」を説く類のものだ。

 

セールスの本質

セールスの本質

  • 作者:レス・ギブリン
  • 出版社:ダイヤモンド社
  • 発売日: 2018-06-21

 

著者

レス・ギブソン。1912年生まれ。自己啓発のパイオニアの一人。1946年、シェーファー・ペン・カンパニーで営業の仕事を始め、米国セールスマン・オブ・ザ・イヤーに選ばれる。

営業の経験をもとに、『チャンスがやってくる15の習慣』(ダイヤモンド社)を著し、20ヶ国語に翻訳され300万部以上を売りあげるベストセラーとなる。また、有名企業を含む数多くの企業のためにセミナーを開催。

※以上、本書より抜粋

 

本書の要旨

まず、本書の構成は以下のとおりである。

  1. 自分を「売る」技術
  2. 相手の話を「聞く」技術
  3. お客様に「売る」技術
  4. 成功の為の10週間プラン

 

次に、本書で述べられている主な主張をまとめる。

 

<成功の基本原則>

 ① 基本をおろそかにしない

 ② やり切るためにコミットする

 ③ 学びに対して心を開く

 ④ つねにプロの仕事をする

 ⑤ 時間とエネルギーを計画的に使う

 ⑥ 視覚に訴える

 

<自分を「売る」技術>

  • 人間の本性を理解せよ
  • 顧客は自分のことに関心があり、他人のことに関心がないと思え
  • 顧客が自分自身のことを話しやすくなるお膳立てをせよ
  • 顧客に最大限の敬意を払え
  • 顧客に同意する、顧客を否定するな
  • 誇り・品位・明るさ・熱意・誠実さ・感謝で信頼を得よ

 

<相手の話を「聞く」技術>

  • 顧客の顔を見て話を聞け
  • 熱心に聞け
  • 顧客の話への関心を示す質問をせよ
  • 話には割り込むな
  • 口をはさむときは顧客を主語にせよ

 

<お客様に「売る」技術>

(姿勢)

  • 笑顔が基本
  • セールスではなくカウンセラーやアドバイザーとして振る舞え
  • 顧客のニーズ把握を優先せよ

 

(プレゼン)

  • 顧客の心を捉えるストーリーを用意せよ
  • 商品ではなくベネフィットを伝えよ
  • 顧客に体を使って商品を感じてもらえ
  • 顧客に頭を使ってもらい、購入プロセスに引き込め
  • 第三者からの情報で説得力を高めよ
  • 他の商品と比較はやめろ
  • 顧客の理解度を確認せよ

 

(クロージング)

  • 反論のタイプを認識せよ
  • 反論に対する反論のパターンを持っておけ
  • 買う理由を提示して決心を後押しせよ
  • これを買うかあれを買うか選んでもらう質問をせよ
  • 「イエス」と答えるしかない質問を重ねよ
  • 契約や支払いなど「決心の次の質問」をせよ
  • 「買います」と言っていただけ

 

<成功の為の10週間プラン>

 (心構え)

  • 知識を行動に変えよ
  • 行動を習慣に変えよ

 

(取り組み方)

  • 本書を読み返せ
  • 一週間に1つ向上させるスキルを決めよ
  • スキル向上のためのアクションを決めよ
  • 一週間で取り組め
  • 自己採点せよ
  • 10週間続けよ

以上のポイントを頭と体に叩き込めば売れるようになる、というのが本書の主張である。

 

本書を読んで考えたこと

本書の内容は「営業の各アクションに対する基本的な心構え」と「営業を有利に進めるためのテクニック」。一つひとつは基本的なことで、真新しいことを言っているわけではない。しかし、これら一つひとつのことがなぜ大事なのかを振り返ることができる。その点でおすすめしたい一冊だ。

 

たとえば、「カウンセラーやアドバイザーとして振る舞え」という主張。売ろうという姿勢ではなく顧客を助けようとする姿勢で臨むことを説いている。顧客が置かれている状況を理解し、顧客のニーズを把握するには、顧客を助ける姿勢で接して信頼を得なければならないという。

 

一般的によく言われるあたりまえのことのように思えるが、どれだけの人がこれを実践できているか。そう考えると、周りでは実践できている人の方が希少だ。「売りたい」という姿勢が強すぎたり、顧客に寄り添いすぎて客観的に理解すべき顧客の課題やニーズを見失っていたりする。自分自身もそういう状況に陥ってしまうこともある。

 

ときどき、なぜこのような姿勢が重要であるのかを振り返る機会を作る必要があると思う。そうした時に本書を読み返したい。

 

最後に本書のタイトルにもなっている「セールスの本質」をもっとも表している文章を参照する。

 

商品を売るのではなく、売上げアップ、利益増大、プレステージ、在庫削減、トラブル回避を売る。設備を売るのではなく、利益、低コスト、高品質、増産の可能性を売る。クルマを売るのではなく、移動手段、快適さ、プレステージ、コストパフォーマンスの高さを売るのです。 

 

商品ではなくベネフィットを売ることがセールスの本質であると著者は言っている。商品を売るなら商品を説明し、選んでもらえばいい。ベネフィットを売るには顧客を知り、顧客のニーズを理解し、顧客から信頼を得て、顧客の意思決定に寄り添う必要がある。上記にまとめた要旨もすべては、ここに繋がるものである。