ハレトケブログ

民族研究からセールスにピボット/受注額8年8億/営業プロセスを整理してみています

ハイパフォーマーに徹底同行した話


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はじめに

8年間営業として働くなかでたくさんのハイパフォーマーの方々とセールスを行いました。一方で、その倍以上、売れない営業の方々とのセールスも経験してきました。

 

売れる人と売れない人のちがいはどこにあるのか?

 

自分のことは棚に上げて、ずっとこの視点で営業の方々の観察を続けてきました。観察していくなかで「これが一番の違いじゃないか?」と感じるところがあって、本記事では売れる人と売れない人の本質的な違いについて考えてみたいと思います。

 

ハイスペなら売れるのか?

売れる人の条件は一般的に以下のようなものが挙げられると思います。

 

・知識が豊富
・機転が利く
・話がうまい(おもしろい)
・礼儀正しい
・明るい
・見た目が良い
・ロジカル
・行動力が高い

 

たしかに上記のような条件を高いレベルで満たしているほど「売れる」傾向にあるのは間違いありません。

 

しかし、実際にはそれらが備わっていても売れない人がいます。いわゆるハイスペでありながら大型受注はできずにいる人たちです。

 

一方、上記の条件の多くが欠けていて「この人ほんとに営業か?」と思う印象の人でも、定期的に大型受注を持ってくる人も何人もいました。

 

このような方々を観察していると「売れる」ための本質はもっと別のところにあるのではないか?と考えるようになりました。

 

売れるための姿勢

ハイスペでも大型受注ができない人たち。彼らの多くはブランド力のある規定のラインナップを売る力には長けています。顧客が信頼している商材に、更に彼らのスペックでお墨付きを付与する売り方です。それでも「大きく売る」ことはできない。これはなぜなのでしょうか?

 

ヒントはハイスペじゃなくても「大きく売る」ことができている人たちの行動にあると考えています。

 

かつての同僚に中西さんという方がいました。第一印象は「ちょっとオタクっぽいオッサン」。彼は大型受注を繰り返すハイパフォーマーでしたが、清潔感に欠け、愛想もよくなく、口下手だし声も小さい。とても営業とは思えない人です(失礼)。

 

そんな彼がなぜ売れるのか?そこにとても興味があって理由を作っては営業同行を繰り返しました。

 

わかったことは、売れる本質は彼の「顧客理解度」にあるということでした。中西さんは顧客のことをよく理解していました。顧客のビジネスも強みも弱みも悩みも顧客レベルで理解していて「顧客と共通言語で会話している!」というのがはじめての同行で受けた印象でした。

 

それは商談というより顧客側の社内会議といった感じで、ひたすら課題を潰す方法についてアイディアを出し合うといったものでした。自社の商材説明にはほとんど触れず、「ああしたらどうか」「こうしたらどうか」と意見を出し合って「なかなか難しいですね、へへへ」なんて言っていました。

 

終いには「うちの商材ではどうにもならんので、B社のアレ使いましょう。見積もり取ってみてもらえませんか?」とライバル会社を薦めたり…

 

なんともハチャメチャなのですが、結果的には自社商材を含む大型プロジェクトに仕上げていきます。顧客の課題抽出と解決方法を顧客と中西さんが一緒に決めていくので、その過程で自社商材を柔軟に組み込んでいました。

 

中西さんらしいエピソードとして、ある顧客の購買フローに中西さんの名前がある、という奇跡みたいな事例もありました。顧客が大きな買い物をする際に中西さんの承認が要るというものです。噂では同僚の営業マンが売り込んだ商材を「この課題には合わん」とハネてしまい、他社からの購買を促したこともあるそうです…

 

そんな中西さんに「なぜそこまで顧客に入り込めるのか」を質問したことがあります。彼からは不機嫌な顔つきで「勉強してるからに決まっとるやろ。IR全部読んでわからないことはクライアントに聞けや」と痛快な返答をいただきました。

 

頭が「パーンッ」となる衝撃を受けましたね。それまで営業能力の高さをテクニックの蓄積のように考えていたのですが、中西さんは姿勢の部分が他のプレイヤーと全く違いました。

 

顧客の力になるには、まず顧客よりも顧客を理解すること。彼はこれを実現するためにひたすらIRを読み込み、顧客に直接質問することで理解を深めていました。これが顧客から信頼され、顧客の一員のような存在になっていた背景です。

 

まとめ

ハイスペなのに売れない人たちの営業と、中西さんの営業の違いを「顧客理解度」というありふれた言葉以外で表現すると、以下のような表現ができると思います。

 

顧客の顕在化したニーズ(顕在ニーズ)を満たすだけでなく、顧客も気づかない潜在的なニーズ(潜在ニーズ)を見つけて満たそうと努力すること

 

ブランド力のある自社商材にお墨付きをつけるだけの営業は、顧客の顕在化したニーズに応えているだけの御用聞きです。

 

しかし、中西さんの営業スタイルは、顧客ですら気づいていない課題を見つけ出し、ニーズ化し、そこに当てはまる商材を売ること。

 

顧客にとっては、自分たちで認知している課題の解決方法は割と見えているものです。あとは候補のなかから何をいくらで買うか、という選択の問題にすぎません。

 

一方で、自分たちが認知していない課題に気づくのは容易なことではなく、その解決方法となるとすぐに検討のつくものではありません。

 

つまり、「潜在ニーズを発見して満たす」という行為はコンサルティング要素を含む価値の高い行為と言えるでしょう。だからこそ中西さんの営業に価値がついて大きなプロジェクトとして受注を重ねることができたのだと思います。

 

最終的に中西さんは様々な顧客から引き抜きのオファーを受け、どこかへ去っていきました。いまだに私の中では最強の営業像です。