ハレトケブログ

民族研究からセールスにピボット/受注額8年8億/営業プロセスを整理してみています

営業プロセスを進めるためのポイントと質問

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はじめに

最近、商談の流れについて指導することが多くなってきました。個別案件ベースで相談に乗るような形式ですが、自分自身の商談戦略がなんとなくしか伝わらないことが多くあります。よくよく考えると、自分で商談戦略のポイントを言語化して整理したこともなかったので当たり前かな、と。ちょっと面倒ですが、ポイントを整理してみますのでよろしければお付き合いください。

 

POINT1:潜在的な問題を顧客自身に気づかせる

まず、顧客にサービスまたは商材を買ってもらうにはニーズを明確にする必要があります。しかし、このニーズというのがなかなか厄介で、顧客は自身で認識しているニーズにはすでに対処しているか、独自の解決策を検討中であり、私たちセールスが赴く頃にはそのようなニーズの大半は残っていません。

 

つまり、セールスにとって重要なことは顧客が気づいていない潜在的なニーズを顧客とともに発見し、そのニーズを満たすこと(すなわち販売すること)です。

 

顧客の視点に立ち、顧客がまだ認識できていない問題を想定します。そしてその問題に関して自社サービスで解決可能な点を切り出しておくのです。

 

大切なことなのでセールスが想定すべき問題の条件を定義しておきます。

 

  • 問題=顧客の理想-顧客の現実である
  • 問題はセールスが提案できる解決策で対処可能なものでなければならない

 

商談はいわば想定した問題の答え合わせの場です。セールスは自ら商談の流れを作り、顧客が潜在的な問題に気づくための手助けをしなければなりません。最終的には、その問題の解決にはセールスの提案が最適であると「気づかせる」ことが必要になるのです。

 

「顧客に気づかせる」という点がポイントです。決してセールスが直接的な指摘をしてはいけません。顧客が自分で気づいたことは、外野から指摘されたことと比べ「自分ごと度合い」が違います。「自分ごと度合い」が高ければ高いほど、顧客の課題解決への意思は強くなりますので、受注への推進力を高めることになります。

 

想定していた問題を顧客に気づかせる商談を行い、そこで生まれたニーズをすぐに満たすためのプレゼンテーションも用意しておく必要もあります。

 

POINT2:7つのステップを意識する

「顧客が気づいていない潜在的なニーズを顧客とともに発見し、そのニーズを満たす」ためには、顧客と対話を深めなければなりません。重ねてお伝えしますが、商談は答え合わせの場であり、顧客とともに潜在的な問題を探す場であります。決してセールスの答えを押し付ける場ではないのでご注意を。

 

顧客との商談はなんとなく進みがちですが、私は以下の7つのステップを強く意識しています。そして、自分が今どのステップにいて、どうしたら次のステップに進めるかを考えながら商談を進めていきます。

 

商談の7つのステップ

 ①顧客が話を聞いてくれる

 ②顧客が自分の話をはじめる

 ③顧客が解決すべき問題を話しはじめる

 ④顧客が解決すべき問題の重要性を話しはじめる

 ⑤顧客が問題の解決手段のあり方を話しはじめる

 ⑥顧客が選択すべき解決手段の候補について話しはじめる

 ⑦顧客が解決手段を検討するためにあなたの提案が必要であると話しはじめる

 (あなたの提案サービスを購入したいと話しはじめる)

 

顧客が状況を語り、顧客が自身の問題について気づき、考え、その解決策を語る。顧客が勝手にこのステップを進んできてくれれば最高ですが、そんなことは滅多にありません。顧客の問題に気づかせ、解決策を見つけさせるのはセールスの仕事です。この道のりをひとつひとつ進んでいくことが受注につながると信じ、とにかく次に進めるためにどうすれば良いかを考え続けましょう。顧客を次のステップに導いていくイメージを持つことが大切です。

 

POINT3:商談は4つの質問で進める

顧客が気づいていない潜在的なニーズを顧客に気づかせ語らせるためには、セールスからの指摘ではなく質問が重要になります。周到に準備した様々な質問を投げ続けることで顧客を導きたい方向に誘っていきます。

 

この質問を準備するためには、営業戦術SPINで定義される以下の4つの質問を頭に入れておくことが重要になります。4つの質問とは以下の通りです。

 

  • 状況質問(Situation Question):顧客の現状を把握する為の質問
  • 問題質問(Problem Question):顧客に問題を気付かせる為の質問
  • 示唆質問(Implication Question):問題の大きさを認識させる為の質問
  • 解決質問(Need-Payoff Question):ニーズ・理想を顕在化させる為の質問

 

状況を知る、問題に気づかせる、問題の大きさを認識させる、ニーズ(解決策)を顕在化させる、という4つの目的を達成するための質問です。何を販売する場合でもこの4つの質問を準備しておくことで、受注までのステップを進めやすくなります。

 

4つの質問を用いたプロセスの進め方

「顧客が話を聞いてくれる」状態をスタートとしたとき、4つの質問を用いてどのように後工程のステップに進めていくべきでしょうか。具体的なイメージを持っていただくために、私が実際に経験した商談を簡素化して整理してみます。

 

以下は私が某上場企業のIT部長に財務会計システムのコンサルティングを販売した際の商談です。事前にいくつかの問題質問を仕込んでおき「5年後の法改正に対応できていない」という仮説が刺さった事例です。

※実際にはもっと複雑な法改正でしたが簡素化しています

 

**商談例*********

 

①顧客が話を聞いてくれる

 

↓ 状況質問

↓  貴社の経理システムについては

↓ どのようなご状況でしょうか。

 

②顧客が自分の話をはじめる

 弊社の会計システムは

 昨年リプレイスし、

 安定した稼働をしています。

 特に大きな問題はありませんよ。

 

↓ 問題質問

↓ なるほど。

↓ 大きな問題はなさそうですね。

↓ そういえば5年後に法改正の

 可能性があります。

↓ リプレイス時にはどんな対策を?

 

③顧客が解決すべき問題を話しはじめる

 実はうわさには聞いているのですが、

 昨年のリプレイスが

 始まった3年前には念頭に置いておらず…

 ただ、システム的には小規模な改修で

 済むとは思っています。

 

↓ 示唆質問

↓ そうでしたか。

↓ 実は他のクライアントとすでに

 対策を進めています。

↓ 法改正にプログラムを

↓ 合わせるのはたしかに容易なのですが、

↓ 請求書に新規項目を

↓ 追加する必要があるなど、

↓ 顧客がかかわる業務フローの変更が

↓ 意外と大変でして。

↓ システム以前に業務改革で

↓ 時間がかかりそうです。

↓ この点は問題なさそうでしょうか。

 

④顧客が解決すべき問題の重要性を話しはじめる

 業務プロセスの変更については

 少し甘く見ているかもしれません。

 弊社は毎月の請求書発行数が莫大で

 しかも顧客や商品ごとに

 フォーマットがバラバラなので…

 すべてのフォーマットに新規項目を

 追加するとなると

 大変な作業になるのではないかと。

 業務部門もそこまでは考えていません。

 システム改修の前に業務フローの

 修正に取り組むとなると

 あまり時間はないのかもしれません…

 (これはマズいかもしれないぞ…)

 

↓ 解決質問

↓ なるほど。

↓ もしかすると時間的な余裕は

↓ 意外と少ないのかもしれません。

↓ 今から請求書変更に関して

↓ 業務部門や顧客との調整を踏まえると

↓ 現在のリソースをフルに

↓ 使っていくことをおすすめします。

↓ でも、現在のIT部門の体制であれば

↓ 問題なさそうですね?

↓ (その人数で足りるでしょうか?)

 

⑤顧客が問題の解決手段のあり方を話しはじめる

 10名です。

 請求業務の業務プロセスに

 精通しているのは

 私を含めて2名しかいません。

 しかももう1名は来年末まで

 営業システムの改修で手が空きません。

 十分な対策には少なくとももう一名の

 専門家が必要になってきます。

 

↓ 解決質問

↓ そうでしたか。

↓ 弊社にすでに法改正対応を経験した

↓ 適任の人材がおりますので

↓ もし必要であればご相談ください。

↓ 貴社で懇意にされている

↓ ベンダーもあるかと存じますが?

↓ A社でしたでしょうか。

 

⑥顧客が選択すべき解決手段の候補について話しはじめる

 ありがとうございます。

 おっしゃる通りです。

 A社とは昔から付き合いがあり、

 弊社の業務に精通しています。

 ただ、場当たり的な業務やシステムを

 残しているのはA社にも一因があり…

 今回の法改正に対応した経験の

 有無もとても重要です。

 貴社の経験は魅力的ですが、

 貴社の場合、単価もお高いので

 コストの問題を乗り越えないことには…

 

↓ 解決質問

↓ なるほど。

↓ A社は貴社の業務を熟知しているが、

↓ 長期視点での設計にはご不安があると。

↓ 弊社が対応する場合でも、

↓ IT部門の方が業務を熟知していれば

↓ 問題にはなりません。

↓ 弊社はいち早く今回の法改正に

↓ 取り組んできており、

↓ 単に改正に対応するだけでなく

↓ これを機に旧態依然の業務の

↓ 効率化も進めてきました。

↓ その点でもA社よりもクオリティを

↓ 高められると自負しています。

↓ 単価も業界水準とさほど変わりません。

↓ 一度ご検討いただく価値はあるかと。

 

⑦顧客が解決手段を検討するためにあなたの提案が必要であると話しはじめる

 (あなたの提案サービスを購入したいと話しはじめる)

 たしかに一度御社の提案を検討すべき

 なのかもしれません。

 御社のご経験は貴重ですし、

 単価も一般的な水準であるのなら

 予算も確保できるかもしれません。

 ご提案をお願いします。

 

************** 

 

なんとなくPOINT1〜3を用いた商談についてイメージを持っていただけたでしょうか。商談においては特に鋭い指摘や示唆だしはしていません。この商談においては「顧客が5年後の法改正に対処していない」という想定問題が刺さったことが全てでした。ここで想定通りに顧客の問題に気づかせることができたので、あとは自社が持っている解決策に導くに質問を続けることで、顧客を提案要望まで連れてくることができました。商材によってはここで受注まで行着かせることが可能であったはずです。

 

このように、顧客の気づいていない問題をできるだけ多く想定し、想定した問題が顧客に当てはまるかを商談で質問し、質問によって顧客が潜在的な問題に気づき、顧客が問題解決の方向性について考える示唆を与え、顧客が一定の方向性を導き出す、というプロセスを進められれば、セールスは成功しますし、深いニーズに刺さった大型提案を実現できる可能性も高くなります。

 

もう少しわかりやすく体系立てて整理したかったのですが、力及ばず。言語化できた部分も多いので自身の営業活動や部下への指導においても、基礎を徹底していきたいと思います。

 

※上記で一部参照したSPINに関する書籍を読んでいただくこともおすすめします

 

 

 

一応こちらにもまとめています↓

www.tomarunao.com