ハレトケブログ

法人営業→人事→事業企画。主に営業論。

地方→東京転職のアプローチ

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20代で二度、地方から東京の企業に転職するという稀有な経験をしました。いわゆる、「おのぼり転職」です。一度目は25歳の時(転職後、異動で地方に逆戻り…)で、二度目は28歳の時でした。働きながら地方から東京(または大都市圏)の企業に転職することは、距離的にも採用基準的にもハードルが高いものです。はじめは現実的ではないのでは?と不安でしたが、試行錯誤する中で、ハードルをひとつひとつ越えていく方法を見つけ、無事に「おのぼり転職」を実現できました。

 

地方の企業に就職したものの、今からでも都内の企業で勝負してみたい!という20代リーマンは多いと思ったので、ささやかではありますが、私が二度の転職を成功させたアプローチ方法をここにまとめます。この記事が一人でも誰かの役に立つことを祈っています。

 

本記事の構成は以下のとおりです。

 

  1. 「おのぼり転職」の背景
  2. 「おのぼり転職」のハードル整理
  3. 「おのぼり転職」のハードルの乗り越え方

 

ハードルを棚卸しし、その越え方を方法論というよりあくまで経験談として記載していきます。

 

「おのぼり転職」の背景

私がはじめに「おのぼり転職」を志したのは24歳のとき。当時の私のスペックは、某国立大学から地方商社に就職して1年です。社会人としては何の実績も出していない状況でしたが、転職を決意しました。

 

その背景にあったのは「この、ユルい地方社会で働いていても市場価値は上げられん」という危機感です。今振り返れば、極端な思想です。ただ、当時の私にとってはあまりにも切実な問題意識でした。スマホが登場し、誰もがインターンネットを通じて社会生活を送る世界をすぐ目の前に感じていましたし、人口動態から日本経済(何より地方経済)がシュリンクしていくことは明らかで、社会の大きな転換期であることを実感していました。何となく就職した、この地方のユルい職場では転換後の世界に着いていけないと思ったのです。

 

転職を決意した後、実は、すぐに動き出すことができませんでした。何から手をつけたら良いのかわからなかったんです。求人を眺めても、距離の問題が大きく、すぐに見学や説明会に行くわけにもいきません。また、調べていくと一企業あたりの面接回数は2~3回で、中には説明会参加が必須の企業もあり、一企業あたりの受験で2~4回の上京が必要だと考えただけで萎えてしまったのです…

 

「おのぼり転職」のハードル

「おのぼり転職」のハードルは言わすもがな、時間とお金です。私の場合、東京駅までの片道が新幹線で2時間弱、高速バスで4時間程度という立地に住んでいたので、転職活動で丸一日休日が消えますし、一日に受験できる企業は2社が限界でした(これでも他の地方と比べればマシな方かもしれません)。また、多くの企業が平日のみの面接対応という無理ゲー状態…さらに、一面接あたりの交通費平均額は1万2000円…20代前半の私にはまさに「首が回らない」状態でした。

 

また、時間とお金以外のハードルとして紹介エージェントの対応があります。これは私がその後人材紹介というビジネスに携わって確証を得たことですが、紹介エージェントにとって地方から東京への転職を希望している属性は、間違いなく優先度「低」であるということです。以下の方程式をご覧ください。

 

[転職エージェンドの生産性]

生産性=(対応求職者数×入職までの展開率×転職年収)÷投入時間

 

上記の通り、転職エージェントの生産性は、対応した求職者が自身の紹介を通して転職を成功させられる可能性(展開率)と転職者に見込まれる年収(転職年収)で決まります。転職年収が問題になるのは、転職後の想定年収×30~40%が彼らの収入になるため。あとは、それをいかに速くいかに効率よく実行できるかが、彼らのビジネスの鍵なのです。

 

この視点で見たときに、地方から東京への転職を希望する属性は、展開率が最も低く(距離ハードルで諦める人が多い、東京の住環境・ビジネス環境に適応できるかを企業から懸念される)、転職年収が最も低く(転職年収を決める現在年収が地方水準で低い)、最も手間がかかる属性(展開率が比較的低く、日程調整もしにくいので長期化する傾向がある)なのです。

 

私が転職活動していた際にここまで分析していたわけではありませんでしたが、多くの紹介会社担当者の対応はあまり熱意のないものでした。私の転職軸と関係のない求人ばかり送ってきたり、地方の他企業を勧めてくる方も多かったですね。やはり「このスペックじゃ優先度が低いんだな」と感じ、エージェント経由の転職は半ば諦めていました。

 

「おのぼり転職」のハードルの乗り越え方

ここまで挙げてきたハードルは、時間・お金・紹介エージェントの対応という物理的距離を起因にした「おのぼり転職」ならではの課題です。ここからは、これらを解消するために「私がどうしたか」をお伝えしていきます。

 

当時、私が強く意識していたことは応募前の徹底的なスクリーニングでした。限られた時間とお金で転職を実現するためには、内定可能性が見込まれ、自身の採用基準に適合し得る募集を厳選し面接後の展開率を高める必要があると考えたからです。

 

でも、そもそもスクリーニングなんてわからんと、思いまして、結局は徹底的に転職エージェントに頼り切る戦略に切り替えました。先述の通り、エージェントの対応は積極的なものではなく一度はエージェント経由での転職は「無いな」と思ったのですが、自分が休日に山や田んぼに囲まれた環境でPCを眺めていても、どこに応募すれば内定可能性があり自分軸が満たされ得るのかはわからず、諦めたい気持ちだけが膨張していくだけでした。それなら、なんとかしてプロに頼るしか無い、というのが結論だったんです。

 

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田園風景が転職意欲を減退させる

 

この切り替えを機に取り組んだことは、数ある転職エージェントから、最適な一人と厚い信頼関係を構築することです。私の取り組みに共感してくれる方に、全てをさらけ出し、熱意を伝え、レスポンスを速くし、相手が「しっかり支援してあげたい」と思えるレベルまで関係性を築ければ、有益な情報やアドバイスを受けられ、クリーニングの効率と精度は上がるだろうと考えた為です。

 

とにかく、数多くのエージェント会社に登録しました。リクルート、マイナビ、DODA、JACリクルートメントなどなど10社くらいだったでしょうか。各社の担当してくれたエージェントとコミュニケーションを重ね、思いを伝え、悩みを伝え、その反応をよく観察しました。

 

2週間ほど各社とのやりとりを行い、最終的にはリクルートエージェントの鈴木さんという女性の担当者に一本化することにしました。理由は以下4点です。

 

  • レスポンスが速い
  • 案内求人の質が高い(自分の基準を理解し合わせてくれる)
  • 提案力が高い(自分の考えに対して、「こういう考え方もアリじゃない?」という提案を出してくれる)
  • 声が美人なので「期待に答えなければ」と自分もシャキッとしやすい(地方だと電話だけなので…)

 ※4つ目はオマケですが、辛い環境の中ではこういうのもマジで大事です

 

鈴木さんには自分の思いをさらけ出すとともに、以下4点をコミットしました。

 

  • 必ず今期の鈴木さんの売上に貢献する(他は使わない)
  • 求人案内に対してはABC判断を理由とともに一日以内に返信する
  • 必要書類は依頼から一日以内に対応する
  • 面接時は想定される質問の回答を必ず全て用意する

 

上記にコミットすることで、エージェント担当者の「この人は売上になるかも」と「この人は頑張っているからしっかり対応したい」という気持ちを引き出せると考えた為です。結果的にはこれが功を奏し、鈴木さんは手厚いバックアップで私の転職活動を支えてくれました。第二新卒者のポテンシャル採用実績が多く、私が転職してやりたいことを満たす企業を、様々な伝から探し出して提案し続けてくれました。また、同僚の企業担当に依頼して、必須である説明会参加をパスさせてくれたり、一次面接をSkype面接に切り替えるなど、地方転職のハードルを下げる為の工夫も積み重ねてくれたことにとても感謝しています。

 

こうした期待に応えたいと私自身も強く思うようになり、鈴木さんとコミットした4点を確実に実践しきることができました。

 

そして、晴れて志望企業のひとつから内定を得ることができたのです。戦略を切り替えてから1ヶ月半後のことでした。元々の戦略である「スクリーニングによって展開率を高め、効率を高める」という視点でいうと、閲覧求人90社→応募8社→書類通過6社→1~2次面接通過4社→最終面接通過(内定)1社という結果です。面接回数はリモート面接4回と訪問面接4回で上京回数は2回でした。鈴木さんの支援によって、応募前に通過可能性と転職基準との適合率をしっかり図ることができたので、闇雲に上京することを避けることができました。

 

実は、鈴木さんは転職活動初期に地方の企業ばかりを進めてきたエージェントの一人でした。私が転職によって何を実現したいのか鈴木さんに対して何をコミットするかを伝えることで関係性が大きく変わっていったと記憶しています。彼女としても、はじめは「東京の企業への転職は難しい人材」と捉えていたそうですが、それを覆せたことが一番の転機となったのではないでしょうか。

 

私の経験から言えることは転職活動においては転職エージェント担当者との個人間の信頼構築を重視すべきということです。どの企業のエージェントであるかはあまり関係がなく、自分に合うエージェント個人を見つけ出し、その方としっかり信頼関係を構築する。お互いWin-WInの目的を共に目指すことができるかどうかが鍵になると思います。

 

これは転職活動一般に言えることですが、「おのぼり転職」の場合は尚更です。「おのぼり転職」属性は転職エージェントにとって優先順位最低です。そして、求人情報をしっかりと収集し、通過可能性が見込める求人をスクリーニングして応募しなければ、時間とお金がかかるだけです。自身が希望する求人の中で通過可能性が高いものを厳選し、効率的に転職を実現する為にも、転職エージェントに「この人は成功するかも」と思わせる何かを提示しなければなりません。それは、私が行ったコミットかもしれませんし、転職への熱い気持ちかもしれませんし、丁寧な対応かも知れません。それを切り口に転職エージェントの担当者を支援者として引き込んでいくことが最も重要なのです。

 

地方から東京の企業に転職するには様々なハードルがあり、孤独感も強く大変でした。私は図らずも二度目も経験しましたが、こちらもエージェント個人としっかりタッグを組むことで乗り越えることができました。まずはよき支援者を見つける。ここからはじめてみると、少しずつ先が見えてくるのではないでしょうか。