ハレトケブログ

法人営業→人事→事業企画。主に営業論。

「会社員disり」の本質

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「会社員disり」のプロレス化

昨今、ネット界隈において会社員のステータスは下降していると言える。イケダハヤト氏(@IHayato)やサウザー氏(@Fist_of_Phoenix)のように台頭した個人事業主たちにより会社員の働き方はdisられている。そして、彼らに賛同し個人事業主に憧れる会社員たちもまた、自らをdisり、会社員のステータスを相対的に下げている。

 

SNSというプラットフォームが誕生し、それまで露出するメディアを持たなかった個人事業主たちが世に姿を現し、その影響力を強め、影響力とスキルをベースにマネタイズを実現している。ある側面で彼らはスターであり、「個人の時代」「評価主義経済」「脱・中央集権」というトレンドワードを体現する象徴的存在だ。彼らとそのフォロワーの間で「脱・会社員」というイデオロギーが醸成されているかのようだ。

 

 

 

このような辛辣なdisりに対し、反論したり、会社員として働くことによるスケールメリットを主張する声も多く、twitterやvoicyを通じて盛り上がりを見せている。

 

 

 

 

 

ご覧の通り「個人事業主 vs 会社員」という構図はSNSにおいてコンテンツ化されている。もはや、終わりなきプロレス状態である。これはこれでなかなか面白いのだが、そもそも「会社員disり」の本質をないがしろにしている反応も多い。イケハヤ氏やサウザー氏が「会社員をdisって伝えたいこと」は多くの人に響いていないのではないか。 

 

会社員disりの本質は「自分価値の保存場所のスライド」

では、会社員disりの本質とは何なのか?

結論は以下の通りである。

 

(結論)

  • 会社員・フリーランスに関係なく、自分価値の保存場所は自分にスライドすべき

(論拠)

  • インターネットの発展により「個人へのアクセス」が容易になった
  • 「個人へのアクセス」が容易になり「個人への自分価値の保存」が容易になった
  • 「個人への自分価値の保存」が容易になり「所属組織への自分価値の保存」は相対的に非効率になった

 

インターネットを基盤とした個人メディアが存在しない時代には、個人のアウトプットが不特定多数の人からアクセスされる可能性は非常に低かった。その時代に個人は自分のアウトプット、つまり自分の価値、をどこに蓄積してきたかというと、紛れもなく所属組織であった。自分のアウトプットは、所属組織内で評価され、企業価値向上・昇進・昇給という形で価値保存されていたのである。

 

「されていた」と表記したが、これは現代の会社員も同じである。会社員としてのアウトプットは基本的に所属組織に保存され、それが当たり前だと大半の人が思っている。

 

会社員disりの本質は、まさにこの事実に対する問題提起である。つまり、会社員disりは「会社員なんて辞めろ」「フリーランス最高」という煽りなどではなく、「自分価値の保存場所を個人に変えよ」という指摘だ。

 

たとえば、R25編集長の渡辺将基氏(@mw19830720)は会社員として『新R25』を編集しているが、『新R25』のアウトプットはCyber Agentまたは新R25という企業のアウトプットとしてだけでなく、彼個人のアウトプットとしても見られており、アウトプットの価値は彼自身にも保存されている。これは彼がSNSを中心に自社媒体を発信し、読者の多くが彼のアカウントを通じて媒体にアクセスしているからだ。彼がSNS以前の時代に登場し、一雑誌の編集長であっても大衆が彼にアクセスすることはなかっただろう。このように、現代における個人の価値は、所属組織が占有できるものではなく、しっかりと自分自身に保存され得るものになった。

 

会社員が良質なアウトプットを積み上げた場合、これまでは彼・彼女の価値を認識してアクセスできるのは所属組織および所属組織を媒介した顧客でしかなかった。しかし、先述の渡辺氏を例に取れば、私たちは彼の価値を認知しており、彼にアクセスできる。彼の手を借りたいと思い、実際にオファーし、彼を『新R25』から引き抜くこともできるかもしれない。これ、すなわち、彼が会社員としての働いて出した価値が個人に保存されている、ということである。

 

「価値の保存」という観点で「個人への自分価値の保存」の生産性は「所属組織への自分価値の保存」のそれに比べ圧倒的に高い。自分のアウトプットが直接的に、所属組織外での自分の評価と信頼、つまり価値、につなげられるからだ。

 

こんなにも効率的に市場価値を上げられる環境で、それにチャレンジしない手はない、というのが「会社員disり」の本質である。自分価値の全てを所属組織に奉納せず、自分自身にも保存していく。それは会社員であってもチャレンジできることであり、実際にイケハヤ氏やサウザー氏は会社員として働きながら自分価値を自分自身に保存した結果、独立に至っている。「自分価値の保存」のプロセスは渡辺氏や田端氏(@tabbata)と何ら変わりはないのである。

 

以上、思考は整理できたので、彼らのプロレスを存分に楽しみたい。